小さな研究室

子供と楽しめる自由研究や本の紹介

水飛沫の不思議

最近、息子のお気に入りは

滝の写真集を借りたり、以前化石採集のついでに立ち寄った払沢の滝をはじめ、関東圏の幾つかの滝巡りをして楽しんでいます。

滝の魅力について尋ねてみると、迫力、流れの綺麗さ、秘境感など色々な良さがある様ですが、中でもその真っ白な流れに魅了されている様子。

「透明な水が真っ白に見えるほどの水飛沫や水泡がどうやって生まれるのか」

「どのくらい水の粒や空気の粒が集まれば真っ白な流れに見えるのか」

などとても不思議な様で、滝の絵を書いたり、綿で滝の模型を作ったり、桶で水を高い場所から落としたりして日々観察しています。

しかし、ただ高い場所から水を落としたり、斜面を滑らしただけでは満足のいく滝を再現することが出来ないらしく、あれこれ試行錯誤をしている様子。
現時点で一番再現度が高い方法は、梱包用のプチプチで作った急斜面に大量の水を流すという方法だそうです。
どうやら、凹凸が重要なようです。

滝の再現はまだまだ工夫の余地がありそうですが、
最近滝の絵の描き方には大きな進展がありました。


きっかけはこの動画です。

www.youtube.com

色鉛筆、クレヨン、絵の具、白ボールペンなど様々な画材で滝を描いてきましたが、
動画をきっかけにパステで比較的簡単に滝の絵が上手くかけることが分かりました。



ポイントは境界をシャープにするために型紙を使うこと
実際に幼稚園児が10分足らずで描いた絵がこちら
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紙切りは手伝う必要がありますが、子どもの小さな指でパステルを延ばすと濃淡がいい感じになるのでオススメです。
子どもとのお家遊びに是非とも挑戦してみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。



今回使用したパステ

パステル仕上げ(固定)スプレー

都内で見つかる化石の不思議【後編】

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今回は多摩川支流である浅川と秋川での化石採集の後編ということで、秋川での話をご紹介いたします。

化石の採れる場所は以下の通りです。

※小和田グラウンドには無料駐車場がありました。


秋川の化石スポットは浅川の化石スポットから車で約30分ほどの場所にあり、浅川でのコパル採りの後、比較的簡単に立ち寄ることができました。
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ここの場所は秋川渓谷への入り口の様な場所でもあり、実際私たちは化石採集の後、渓谷を流れる払沢の滝を見に行きました。

駐車場に車を停めた後河原に降りてみると、いきなり面白い石を発見できます。黒い光沢のある石で、強く握ると薄い層にバラバラと崩れる様な石です。あきる野市に点在する石炭層や珪化木と関係がありそうです。


さて、実際に採取した石(冒頭の写真の右側)ですが、こちらの資料によると、この辺りは日本列島ができ始めた中新世と呼ばれる時代の地層が露出しているらしく、この石もおそらくその時代のブナの葉っぱの化石ではないかと思われます。

また、先の資料をもう少し広く眺めると秩父の方に向かって地層の年代が古くなっていくことが分かります。日本列島は大陸側に向かって古い地層が現れると言われていますが、この場所がまさしくその縮図になっていると思うと一層面白い場所に思えてきます。



最後まで読んでいただきありがとうございました。

是非この機会に化石採集に出かけられてはいかがでしょうか。

都内で見つかる化石の不思議【前編】

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今回は都内を流れる多摩川の二つの支流である浅川と秋川に行ってきた時の話です。

事前にインターネットで化石が採れるという情報を得て、化石採集に行ってきました。

そこで前編では浅川を紹介して、後編で秋川を紹介したいと思います。

浅川の詳しい採集場所は以下の通りです。

メタセコイア化石林周辺には駐車場が無いので、800m程度離れたコインパーキングを利用しました。


メタセコイア化石林の名前の通り、ここではメタセコイアの化石を広範囲にかけて観察することができます。
化石は太い幹の一部が炭の様になった状態で露出しており、軽く触るだけでボロボロ剥がれるものもあります。
幹の太さが一メートルを優に超えるものもあり、メタセコイアの巨大さを感じさせます。


メタセコイアの化石の中やその周辺をよく見るとコパル(若い琥珀)を見つけることができます。
下の写真でいうと、真ん中あたりの黄色い欠片がコパルです。
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少し洗ったコパルをトップ画像にしました。表面は白く濁っていますが、断面はガラス光沢があり綺麗なのが分かります。
コパルは樹脂の化石で、より長い年月地中に保存されることで琥珀になるそうです。
コパルの方が樹脂に近いからか、水で濡らすと少しベトベトします。
ただ、コパルも琥珀も元は樹脂なので、ヤスリで擦るとどちらも香ばしい森の匂いがします。
化石の中に太古の匂いまで保存されているなんて驚きですね。


メタセコイアといえば一度地球上から絶滅したと思われていたそうですが、東京のこの地に昔は沢山生えていたと思うと不思議なものです。
TrekGEOによると、この辺りは「更新世 (220万年前) 」の地層にあたるようです。
私たちが生きている間は毎年同じように四季を繰り返し、それが昔からずっと続いていたかのように感じられますが、数百万年という年月の間には幾つもの動植物が絶滅してしまうほどの大変動が起こってきたのかと思うと感慨深いものです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
皆さんもこの機会に浅川のメタセコイア化石林を訪ねられてはいかがでしょうか。

水の流れも緩やかで小魚も泳いでいるので水遊びも楽しめるかと思います。

興味はあっても行く時間がないという方には下のコパル磨きセットもおすすめです。

琥珀と樹脂の不思議【Q&A編】

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樹脂と琥珀シリーズ最終回は、樹脂・琥珀磨きの中で子供から出た面白い質問と、親の回答(+考察)をまとめたいと思います。



Q. 琥珀はどうやって出来たの?


A. 一千万年も昔の樹脂が固まって出来た


 

Q. 琥珀は普段どこにあるの?


A. 地面の下には昔の地面とか枯れた木が積み重なってて、石炭みたいになった枯れ木の中に入ってる


 

Q. 琥珀はどのくらいの深さにあるの?


A. (場所にもよると思うけど)超高層ビルくらいの深さかな


 

Q. そんな昔に出来たのに、なんで琥珀は見た目が樹脂のままなの?


A. 樹脂にとっての一千万年は人間にとっての一年くらいかも知れないね


 

Q. じゃあ、琥珀はいつまで琥珀のままなの?


A. それは謎だ!

謎ですが、最古の琥珀から考察するに、保存状態が良ければ三億年以上は見た目が変わらないかと思われます。というのも、現在発見されている最古の琥珀は約三億年前の石炭紀のものらしく、大きさは5mm程度ですが、しっかりと色も光沢も確認できます。それよりも昔となると、人の大きさ以下の植物しか生えていなかったらしいので、樹脂自体、地球上に殆ど存在していなかったと考えられます。

しかし、いざ数億年保存しようと思ったら、保存場所は慎重に考える必要があります。第一に、数千万年で日本列島が誕生したり、数億年で大陸が大移動したりと、地面は激しく流動しています。第二に、琥珀有機物なので、数十キロも地中深くに沈んでしまうと熱と圧力で変質してしまう可能性があります。その様なことを考えていると、三億年前の琥珀が発見されたことが奇跡の様にも思えます。
琥珀から少し考察範囲を広げてみると、地中深くのマントル有機物の痕跡が見受けられるという報告もあり、有機物の存在する限界深度はまだまだ謎に包まれている研究テーマなのでは、と妄想が広がります。



以上です。お読みいただきありがとうございました。
 


参考URL:

・最古の琥珀Identification of Carboniferous (320 Million Years Old) Class Ic Amber | Scienceのことです。
マントル有機物痕については★★ 三村耕一のホームページ ★★にて研究が進められている様です。
琥珀の全般的な情報は琥珀 物知り博士に詳しく書いてありました。

琥珀と樹脂の不思議【後編】

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写真は前編で紹介した

上:公園で拾った樹脂

下:本物の琥珀

です。

 

 

後編では、今回、樹脂磨きに至った経緯と、樹脂が良く取れる場所・磨き方についてまとめます。

 

 

琥珀の原石をプレゼントして数日間は原石を飾ったり、眺めたりして遊んでいた息子ですが、数日後に近所の桜の枝から水滴の様な樹脂が垂れ下がっているのを見て

琥珀みたいで綺麗!」

と頑張って取ろうとし始めました。大人も手伝って取ってあげると、感動した様子で樹脂をまじまじと見つめ、その日は一緒に樹脂を探しました。

 

その日から幼稚園でも近所の林でも樹脂探しをする様になり、

・雨の日は樹脂がドロドロになって取れないが、数日するとカチカチに固まる

・桜の樹脂はそのままでは匂いを感じないが、一度乾燥させるためにオーブンに入れた際に、カルメ焼きの様な見た目と匂いになった

・林に生えているクヌギやコナラの木にはベッコウ色の樹脂が見当たらなかったが、樹皮の割れ目からプクプク音を立てながら薄茶色の液体が湧き出していることがある

などの発見がありました。

 

樹脂は、木が傷ついた時に出すカサブタの様なものだと知ってからは幹の割れ目に注目して探す様になり、それまで気が付かなかった炭状の大きな樹脂を発見できる様になりました。また、虫に良く食われるからか、若い桜の方が大きな樹脂が出ていることに気が付きました。樹脂探しは子供の方がずっと得意らしく、次々と大物を発見。発見したら親が樹皮を傷つけない様に慎重に樹脂の外側を剥がすという一連の流れを数日繰り返し、気がつけば十数個の樹脂コレクションが出来ていました。

 

樹脂集めも一段落したところで、琥珀の原石磨きを子供に見せようと思い、サンドペーパーで磨いていたのですが、比較のために樹脂も磨いてみたらどうかと思い立ち、樹脂磨きもやってみることに。

・樹脂は形が歪だったり、木の破片が付いていることがあるので、ハサミやカッターで適当な形に整える

・樹脂は琥珀とは違って少しでも濡れるとネバネバになるので、出来るだけ乾燥させて磨く

・仕上げのコンパウンドは水を含むので、布にしみ込ませながら素早く磨き上げる

・布で強く擦った時にキュッキュッと音がしたら終了間際

・磨き終わった後は食用油等を染み込ませたティッシュで軽く拭く

という順番で磨き上げたところ、冒頭の写真の様に驚くほど綺麗な樹脂に変身しました。

 

ちなみに、今回使用した原石とコンパウンドは以下のものです。この機会に琥珀&樹脂磨きに挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

 

次回はシリーズ最終回Q&A編で締め括ろうと思います。

 

お読みいただきありがとうございました。

 

 

琥珀と樹脂の不思議【前編】

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琥珀と言えば、数千年前の樹脂が化石化したもので、ベッコウ色が美しい装飾品としても知られていますが、最近その原石を息子(5歳)にプレゼントしたところ、大変喜んで愛でていました。


琥珀は化「石」と言っても、鉱物ではないため比較的削り易く
DIY用のサンドペーパー(400番から2000番まで順番に使う)
・仕上げに汚れ落とし用のコンパウンド
で30分ほど磨けば写真の様にピカピカになります。



ところで、実は写真中の二つのうち片方は偽物琥珀ですが、お分かりになるでしょうか。














【正解】

左:バルト海産の本物の琥珀

右:公園で拾った樹脂(を磨いたもの)


公園で普通に拾える樹脂を琥珀と同じ様に磨いただけで、これ程美しくなるとは全く想像できず、いざ仕上がった時は家族一同大興奮でした。

息子に書いてもらった下図を見ていただければ分かる様に、拾ったばかりの樹脂はグチャグチャであったり、質感も炭の様なものまであるのですが、サンドペーパーで形を整えるとマットな質感の丸い塊になり、最後にコンパウンドで磨き上げると琥珀と見間違える程の光沢と色合いとなります。
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後編では、樹脂磨きに至った経緯と、樹脂が良く取れる場所・磨き方についてまとめます。


ちなみに、今回使用した原石とコンパウンドは以下の二つです。この機に樹脂探しに出掛けてみてはいかがでしょうか。